Q9

■再生医療が普及することに伴うことが想定されるさまざまな社会への影響

科学の不確実性に起因する、社会への長期的影響を踏まえ、再生医療をどのような規制の下に置くべきか?

【アジェンダ】

再生医療にはプラスの面として劇的な治療効果が期待される反面、マイナス面として、科学の不確実性に起因する、社会への諸々の長期的影響についての懸念もあります(現在は予測できない危険性がずっと後になってから判明するなど)。この懸念を受けて、あなたは再生医療をどのような規制の下に置くべきと考えますか。
なお現在でもすでに再生医療には、他の医療技術(医薬品や医療機器など)と同じように、品質・有効性・安全性を確保するために薬事法とその関連法令・通知による規制が設けられ、製造・販売には厚生労働大臣の承認が必要とされています()。
今後、再生医療をどのような規制の下に置くべきか、お答えください。

【ひとつ選択】

  1. 現在の規制に加えて、別途、再生医療を対象とした新しい法律による規制が必要(違反の場合は処罰も必要)。
  2. 現在の規制以外の法律化はしないが、行政が再生医療を対象とした指導を行うことが必要。
  3. 現在の規制に加え、医療機関や業界団体が自主規制を行う。
  4. 現在の規制を続けるだけでよい。

(*)
現在の規制制度では、再生医療で用いる細胞・組織から加工した製品(例:培養皮膚、培養軟骨、培養角膜)、医薬品、医療機器は、他の一般の医薬品・医療機器等と同様に、薬事法とその関連法令・通知に基づいて、有効性と安全性に関する臨床試験(治験)を経て、その結果をもとに国の審査機関(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が審査し、厚生労働大臣の承認を経て、製造・販売が認可されることになっています。
また細胞・組織から加工した製品は、新規性が高いため過去の使用経験・情報の蓄積が少なく、リスクの予測が難しいことや、人間または動物由来の細胞・組織を用いることから、感染症の伝播の危険性が懸念されます。このため治験を行う前に「確認申請」という国の審査(独立行政法人医薬品医療機器総合機構が実施)を受け、品質と安全性を確保することが、「細胞・組織を利用した医療用具又は医薬品の品質及び安全性の確保について」(平成11年7月30日付け医薬発第906号、平成21年5月18日付け薬食発第0518001号にて改正)によって定められています。
さらに薬事法の規制がかからない「臨床研究」(研究者である医師が「医業」の範囲内で自主的に行うもの)の場合、通常は、安全性と倫理性を確保するために厚生労働省が定めた「臨床研究に関する指針」に従い、医療機関内に置かれた倫理審査委員会による審査を経て、機関の長が許可することで実施できますが、幹細胞を用いる場合には、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に従い、機関内の倫理審査に加えて、厚生労働大臣の了承が必要とされています。

«Q8
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No.038

私が一番重要だと思うこと:

再生医療導入のルールをどうやって決めるのか、という問題。

理由:不確実なことがたくさんあるのでルールを予め決められないし、決めても想定外の紛争が生じるだろうし、それを法廷にもってこられても困る。

No.047

私が一番重要だと思うこと:

財政支出・集中的に。

理由:折角の芽だから、国あげて、人物・金を集中投下して、法規制も整備して、世界をリードする実績をあげてほしい。

No.049

私が一番重要だと思うこと:

他人間での細胞のやりとりに関わって生じる法的トラブル→金銭上の問題の発生→もらった細胞の安全性に問題があった、発生、など。

理由:自分の細胞を自分でつくって、自分の体に使うさいには、あまり法的問題が生じることは少ないと思われるが、他人間でのやりとりには、必ず多くの法的トラブルが発生すると思われる。 これを防止するために、あらかじめ当事者の合意の内容にどのような項目をもりこむかということはもちろん事前の法的規制が是非とも必要。しかし、あまり規制しすぎると本来の目的(難病治療等)の達成を阻害するので、どのあたりでバランスをとるのかが重要。

No.056

私が一番重要だと思うこと:

一番重要と思うことは、長期的な影響(人体、社会全体など)をしっかり把握した上で、対策を万全にして提供してほしいということです。

理由:なぜなら、遺伝子組み換え作物など、長期的影響を考慮されずに出回ってしまっているものが社会には多くあり、子育てをする上で不安に感じることがあるからです。「絶対安全!」と言い切れるまでは出回らない方がましなのでは?と感じています。その上でやはり本当に困っている人、苦しんでいる人へ利用されるためのものであってほしいと思います。

No.062

私が一番重要だと思うこと:

人間が万能であると誤信し、生命を操作できるように思ってしまう。

理由:新しい科学技術を社会に導入するにあたり、まず、議論すべき問題はどこまでが人間が操作することが許される領域かということだと思います。これを議論し、社会的な合意を得た上で、当該技術に対する規制手段(学会ルールにゆだねるか、法的規制をどの程度行うか)を模索すべきだと思います。

No.114

私が一番重要だと思うこと:

研究体制や市民への説明の国レベルでの支援が重要。

理由: ・国がリードして研究体制や安全性の整備を進めないと国益を損ねる。 ・優秀な研究者が育成されない。 ・欧米諸国と対等に戦うためには、国からの支援なしではやっていけない。

No.123

私が一番重要だと思うこと:

再生医療の適正化を推進するために法制化などのルールづくりをして、治療費の高額化を押さえるために保険診療の適用をすること。

理由:地方公共団体の財政や法務の総務的な仕事をしていた私にとって、法制化や財務的なことに興味があり、まず、法制化などルールをつくることによって、再生医療の目的外利用を押さえ込む事ができ、倫理的にも有効であると考え、また、保険診療の適用をすることによって、財政的に軽減できるものと考えたからです。

No.168

私が一番重要だと思うこと:

何よりも、まず安全な再生医療を受けることができるようになること。

理由:再生医療が発達しても、安全性が確保できなければ、「医療」ではないような気がするので。