Q8

■再生医療が普及することに伴うことが想定されるさまざまな社会への影響

新しい再生医療技術を使用して問題が発生した場合に、最も大きな責任を負うべきと思われる関係者は?

【アジェンダ】

再生医療で問題が発生した場合の責任のあり方に関する質問です。
再生医療は新しい技術であるため、たとえ国の厳格な安全審査を経て使用が認可され、適正だとされた方法で使用した際にも、予期せぬ症状、副作用が出るかもしれません。新しい技術を使うときには、つねにそのようなリスクを背負う覚悟や責任が、関係者それぞれに求められるといえます。
では、新しい再生医療技術を使用して問題が発生した場合に、最も大きな責任を負うべきと思われるものを選んでください()。

【ひとつ選択】

  1. 患者
  2. 施術した医師や医療機関
  3. 技術を開発した研究開発機関
  4. 安全審査と認可を行った国

(*)
医療で問題が発生したときの責任(賠償など)は、発生した問題の重大さやその原因の性質(適正な方法から逸脱するなどの「過失」があったかどうかなど)に応じて法的に判断されます。判断の原則は「過失責任主義」であり、無過失の場合の責任は、一部の例(重度の脳性麻痺に対する産科無過失補償など)にしか認められていません。このため、被害者が何も救済を受けることなく、いわば泣き寝入りせざるをえないことも多々あります。仮に過失がある場合も、裁判でそれを立証するのに時間がかかり、被害者の救済が遅れることがあります。
こうした不幸を減らすため、医療者の過失の有無によらず被害者を救済する「医療事故無過失補償制度」の創設も医療関係者や法曹界、与野党で検討されています。その財源としては、たとえば日本弁護士連合会は、「国庫負担のほか、医療事故の被害回復を図る互助の精神から、患者の一部負担金、医療側・医療機器メーカー等も利益の一部を拠出して基金を創設する」としています(日本弁護士連合会「『医療事故無過失補償制度』の創設と基本的な枠組みに関する意見書」、2007年3月16日: http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/data/070316_2_000.pdf)。これは、医療事故の責任を国、医療関係者、患者のあいだで公平に担おうという考えだといえます。
なお医薬品の副作用については、すでに「医薬品副作用被害救済制度」があります。

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