研究概要 1. コミュニケーション手法の研究開発
「コミュニケーション手法の開発」では主に、次のような研究開発を行っています。
既存手法と先行研究の体系的整理と手法ライブラリの作成
(担当:組織運営基盤G)
熟議型コミュニケーションの国内外の実践事例および先行研究の文献調査をもとに、会議・対話の各種手法を分類し、体系的に整理する。
単に手法のみならず、熟議型対話による科学技術に関する公共コミュニケーションの理論的問題(コミュニケーションの質の評価の仕方、参加者の代表性など)についても検討する。
また文献調査から、重要な参考例と考えられる国内外の事例・手法を抽出し、文献調査からは判明しない詳細について当該事例の関係者や研究者にヒアリングを行う。
以上の検討結果をふまえ、各種手法と適用事例、運用ノウハウの情報を集約した「手法ライブラリ」を作成し、一般利用できるようインターネットでも公開する。
中関心層を対象とした熟議型対話手法の参加型開発(担当:熟議型対話手法G)
中関心層を対象にした問題認識・論点可視化等のための各種の熟議型対話手法とその運用ノウハウを、開発プロセスに参加する市民と共同開発する。
平成20年度採択の「政策形成対話の促進:長期的な温室効果ガス(GHG)大幅削減を事例として」研究開発プロジェクト(代表:柳下正治・上智大学教授)と共同で、「World Wide Views in JAPAN」の会議設計および運営を実施する。この経験を通じて、熟議型対話を政策形成につなげるための方策を検討する。
科学者参加型コミュニケーション実践の研究と能力開発
(担当:科学者参加型コミュニケーション実践G)
非専門家とのコミュニケーションの実践に科学者が積極的に参加することを通じて、科学者のコミュニケーション能力や、科学技術とその社会的問題、非専門家とのコミュニケーションに関する認識・意識がどう変化するかを分析する。
幹細胞研究やゲノム科学など先端医療・生命科学を主なトピックスとして、科学技術やその問題に関する認識が、科学者と非専門家でどう異なるのか、また非専門家同士でも職業や性別など属性によってどう異なるかを調査する。
コミュニケーション実践を通じて、科学研究やその社会的問題、非専門家とのコミュニケーションに関する科学者と非専門家の認識・意識が各々どのように変化するか、その要因は何かを分析する。
上記で収集・整理した各種手法のうち特に中関心層の市民に対して利用可能なものを、コミュニケーション実践に適用し、有効性の検証やそのための指標の確立、運用ノウハウの獲得・マニュアル化を行う。
コミュニケーション実践への若手研究者・大学院生の参加と、そのコミュニケーション効果の分析をもとに、専門家に求められるコミュニケーション能力の要素を特定し、その能力構築のための教育内容や手法を開発する。