プランニングセル

Planning cells

(文献1)プランニングセルは、市民の中から無作為に選ばれたメンバーが、少人数の基本単位(細胞)に分れて討議し、討議にもとづいて提言を作成して計画づくりの指針とする制度

■ 何するの?
(文献2)プラーヌンクスツェレの特徴
1. 話し合いへの参加者を無作為抽出で選ぶ。
2. 参加者に謝礼を支払う。
3. 1グループ5人(通常5グループ25人で行う)に分けて参加者だけで話し合いを行い、全体で投票を行う。(1日4コマ、4日間で16コマ)
4. 各話し合いの前に現状や課題などの情報提供を行う。
5. まとまった結果を市民答申として公表する。

(文献3)参加者は与えられた課題に対して、4日間の議論と作業を通じて結論を導き出す。この4日間は、あらかじめ準備されたプログラムに従って進められる。1日の作業は、約8時間で、4つのコマ(90分の作業単位)から構成される。この作業単位の中には、それぞれ課題と質問が準備されており、25名の参加者は、3つの段階--課題に対する説明と専門家からの情報提供が行われる第1段階、5名ずつ5つのグループに分かれて議論する第2段階、それぞれの小グループの結果を発表し全員で結果をまとめていく第3段階-を経て、回答を出していく。まとめの作業の際、参加者は色のついたシールを5ポイント程度ずつ与えられ、そのポイントを使って提出された結果内容に投票する。こうしてそのプランニング・セルでの結果が明確になる。
 評価の結果は、司会者とアシスタントが記録に残す。これらの結果を他のプランニング・セルの結果と統合していくと、ある課題テーマに対する全体の意見が要約・集計される。参加者の声を統合する作業は、運営組織と各プランニング・セルからの代表者によって行われる。最終的に、この結果が市民鑑定(プランニング・セルの結果をこう呼ぶ)として、事業(プランニング・セル)の委託者に答申される。

(文献2)基本的に18歳以上(最近では16歳以上の場合もある)の市民から「無作為抽出」により参加者を募る。プラーヌンクスツェレにおいては、話し合いの数は4日間で16コマとし、参加者はコマごとに設定される個々のテーマに沿って、公平・中立な立場、または賛成、反対両方の立場による専門家等からの情報提供を受け、その後1グループ5人(通常5グループ25人で行う)で、参加者だけで話し合いを行う(情報提供を含め1コマ90分)とされる。話し合いは、特定の参加者の意見だけが反映されることのないよう、コマごとにメンバーを入れ替えて行う。
 このような少人数による話し合いを、コマごとにメンバーを入れ替えながら行うことで、他の参加者の意見を十分聞き、お互いの体験や視点を尊重しながら、 合意形成を行うことが可能になる。
 このようにして得られたグループの意見に対して、全員で投票を行うが、話し合いと投票を経て得られた結論は、利権誘導や専門家の意見に偏った形にはならないものとなる。

■ どういうときに使うの?(文献1・2・3)
短期間で解決されるべき緊急の課題があり、その解決のために、異なる便益とリスクをもたらす多数の選択肢がある場合に用いられる。市民メンバーが、討議にもとづいて提言を作成して計画づくりの指針とする。サイレント・マジョリティーと呼ばれる一般の市民の声なき声を抽出できる方法である。ローカルなレベルの指針づくりで用いられることが多い。参加デモクラシーの制度的実現である。巨大社会に生きる市民に存在意味を与える。
システムに対する信頼感や社会関係資本をつくるなどの副次的効果をもつ。参加者が、開催後に地域社会に対する参画意識が非常に高まる。

■ 参加者は誰?
(文献1・2)市民の中から無作為に選ばれたメンバー。このため、参加者は、限られた特定の人の集団や専門家ではなく、ほとんどの場合、テーマに関し直接の当事者ではない一般の市民である。また、男女比率、年齢や職業などの構成が、その地域の構成と同様の傾向を示すことになり、その意味において、参加者はその地域の代表者であるといえる。討議の際は1グループ約25名を、5名ほどに分ける。ランダム・サンプリングの効果を上げるため、グループの数を増やすこともできる。通常は4グループ程度。参加者には報酬が支払われる。

■ 開催費用は?
かなり大きな資金を必要とする(文献3)

■ 時間は?
90分×4コマ×4日間程度。準備期間5ヶ月程度(文献3)

■ 参考文献
1.篠原一(2004)「市民の政治学」(p176−178)

2.市民討議会推進ネットワーク(CDPN)「プラーヌンクスツェレ(Planungszelle:独語)とは」
http://www.cdpn.jp/modules/pico/index.php?content_id=10

3.若松征男(2010)「科学技術政策に市民の声をどう届けるか」(p219)

■ もっと情報がほしい場合は?
日本プラーヌンクスツェレ研究会
http://www.shinoto.de/pz-japan/index.html

別府大学地域社会研究第11号 2005.09.01
別府大学地域社会研究センター
http://www.shinoto.de/pz-japan/downloads/dlList2005/files/2005_10_20_ChShKenkyuu.PDF

市民討議会推進ネットワーク(CDPN)「プラーヌンクスツェレ(Planungszelle:独語)とは」
http://www.cdpn.jp/modules/pico/index.php?content_id=10

市民参加・合意形成のあり方研究会 2005 市民参加・合意形成手法事例とその検証

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